出演依頼

某所から、シンポジウムにパネリストとして参加しないかというお誘いを頂いた。お題は京都の住まいについて。喜んで参加させて頂く事にした。
我々が住んでいる家は町家風ということになっているが、実際には町家ではない。町家、あるいは昔ながらの家作りのエッセンスを少しずつ拝借した現代の家だ。例えばむくり屋根(起り=反りの反対)や漆喰の虫籠窓、通り庭(家の奥まで続く土間)のような廊下、中庭、ごろんぼ(太い松の梁)、弁柄塗りなどは町家からヒントを得たもの。そこに野趣に富んだコブシの床柱のある床の間をつくり、玄関の沓脱ぎ石に鞍馬石を据え、現代の間尺に合わない古建具を入れ、真行草でいったら草もいいところ。
気をつけた事をひとつあげるとしたら、たとえば「和風モダン」という言葉に表されるような流行にはできるだけ乗らないでおこうということ。20年後、30年後に、昔「和風モダン」がはやったよね、という残念な様子が目に浮かぶから。逆に言えば、何百年も掛けて多くの目に触れ現代に生き残ったものは、洗練され、飽きがこない(ような気がする)。自分一代、たかだか何十年かの蓄積から出る突飛な発想よりも、先人達にすがる方がよほど賢いと思うのだが。個性ばかり重視される世では、街並が崩れるのも当然。
・・・などなど思うところ簡潔に面白く話ができるとよいけど。。。


写真は苦労して弁柄を塗った寝室の天井。艶がよい。